内覧会のとき、どの人も必ず通る場所は「玄関」。
以前にも、玄関のチェックポイントとして、ドアの開閉スピードなどの点検を挙げましたが、今回はそれよりももっともっと、基本の項目、玄関ドアの「鍵」についてです。
マンションによってドアノブやサムターン(鍵の"つまみ"部分)の形状は多少異なると思いますが、最近の傾向は、1つのドアに対し2箇所の鍵が付いているのが特徴です。 (※機械錠など、セキュリティレベルが高い鍵の場合は1箇所だけの物件もあるようです)
今回のチェックポイントは「2箇所あるサムターンを必ず動かしてみること」。
まず、第一のポイントとしては、開錠・施錠時に、ドア枠に引っかかって擦れるような固さを感じないかどうか。
これは体感でのチェックになるため、なかなか文字での表現は難しいですが、スムーズな場合は「カチャッ」とすぐに鍵が回り、やや固い場合は「ゴリッ」と少し擦れるような感じのあとにやっと鍵が回ったというような感触です。
上下に2つ鍵が付いていると、どちらか一方の鍵だけが調整不十分であることも多いため、上下2箇所の鍵を動かしてみると、スムーズなものと擦れているものとが比較しやすいかもしれません。
両方とも擦れるような感触がある場合は、施工会社に「他の部屋と比較してどうか」とご質問なさってみてください。
次は「サムターンの取り付け状態が正しいかどうか」のチェック。
これからご紹介する写真は、両方とも「玄関の鍵が閉まった」状態です。
まずは、問題が無い鍵の写真。サムターンに注目。
では、次に、修繕が必要な玄関の鍵の写真。
閉めた状態のままだとわかりにくかったので、ドアを開けて「施錠しているとき」の状態にしてみました。上下2つのサムターンを見てみてください。
どこがおかしいかと言えば・・・
上下でサムターンの向きがそれぞれ「縦」と「横」になっているのです。
上のサムターンは「横」にすると鍵が閉まり、
下のサムターンは「縦」にすると鍵が閉まる。
言われてみれば「なーんだ」と思うことだと思いますが、意外とサムターンの向きまでチェックしている人は少ないのではないでしょうか。
いろいろな指摘事項の中では軽微な間違い。
でも、大地震や家事などが起きたとき、もしパニックに陥っていたら、上下で向きが異なる鍵をなかなか開けられないことも考えられます。
災害発生時、いつもはできていることが、慌ててしまってできなくなるというのは年齢に関わらず起きうること。
そんなときでも、「上下とも縦」「上下とも横」というふうに同じように並んでいれば、ある程度試した後に鍵が開いて逃げられるでしょう。
玄関の鍵は防犯性だけでなく、操作性も大事なチェックポイントだということをお忘れなく!
辻 優子(つじ ゆうこ)
大手マンションデベロッパーにて、新築マンションの販売、現場施工管理から各種購入者向けセミナー運営など幅広く携わった後、 (株)さくら事務所参画。働く主婦目線でのきめ細やかなアドバイスにも定評がある、女性コンサルタント。
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