8. 第7位の基準 設備の豪華さより、間取りの使い勝手が大事
マンションの売れ行きを高めるために、不動産各社は一般の人に分かりやすいアピールポイントとして、水まわりを中心とした設備に力を入れています。
キッチンであれば浄水器やディスポーザ、食器洗浄機、IHクッキングヒーターなど、トイレであれば独立手洗い付やタンクレスなど、浴室であればミストサウナやTV付きなど、といったところが、売りの設備です。
いずれもあれば便利ですが、どれかが欠けていたとしても、日常の暮らしが致命的に不便になるということはありません。また、設備は日進月歩ですから、いま新しい機能も時間がたつと陳腐化してしまいますし、気に入らなければ取替えがききます。
私はこうしたことから、住戸内の暮らしやすさを見る際には、あまり設備は重要視しません。もっと根本的な間取りの使い勝手をチェックします。チェックするポイントは、各部屋の広さとつながり、それに収納スペースです。
各部屋には用途があります。LDであれば、ダイニングテーブルやソファを置いて、カップルなら夫婦、シングルなら友人と食事をしたり、くつろいだり。夫婦の主寝室であれば、ベッドを2つ並べて読書したり、書き物をしたり、といった具合です。使い勝手はこの用途によっても決まります。
それでは、カップルを例に各部屋の必要な広さの目安をみていきましょう。LDは、最近はやりの大型TVを置くのであれば10畳程度は必要です。主寝室はベッドとクローゼットを考えれば8畳は欲しいところです。料理のしやすさを考えれば、キッチンは3畳以上。浴室はリラクゼーション効果を意識して、最近はゆったりめが主流です。専有面積60m2前後で1317(1.3m×1.7m)の広さが目安でしょう。40m2前後のシングルの場合は、LD9畳、寝室6畳、浴室1216といったところでしょうか。
また、収納が十分かどうかも使い勝手に影響します。収納スペースは全体の専有面積の6%程度を確保するのが目安とされていますが、持ち物が多い人は不足気味と感じることが多いと思います。10%程度あればすっきり片付くでしょう。各寝室、各水まわり、玄関、廊下、LDと各所に1箇所は収納スペースがあったほうが、使い勝手は増すものです。
ただし、都心のシングル・カップル向けマンションでは10%はおろか6%の収納を確保できるものも少ないので、住み手の側がモノを極力少なくする努力が必要とされます。そして、各部屋のつながりです。まず、LDなど友人・知人も訪れるパブリックスペースと寝室などのプライベートスペースは分かれていることが基本です。また、寝室とトイレ、洗面室、浴室はパブリックスペースを通らず、かつ寝室からすぐに行けるところにあると使い勝手が良いでしょう。
このように使い勝手をあれこれ考えていくと、カップル向け2LDKの住まいは、60m2前後、シングルであれば40m2前後の広さは、欲しいという結論に至りそうです。
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