■ケース3)30代 ばりばりディンクス
プロフィール/夫(34歳・正社員・年収600万円)、妻(32歳・正社員・年収400万円)
資金計画/物件価格4300万円・頭金800万円・住宅ローン3500万円
30代前半といえば、仕事上で油が乗り始めた時期でしょう。20代と比べると収入も増えて、ちょっとした贅沢を楽しみたいと考えるカップルも多いはず。家計に余裕ができたので、通勤に便利な場所にマンションを買い、インテリアにも凝って、おしゃれに暮らしたいからとマイホームを探している人もいると思います。
ただし、少しでも条件のよいマンションをといって、夫婦で目いっぱい住宅ローンを組んでしまうと、将来のリスクに対応できないので注意が必要です。たとえ妻が出産後に復職できる環境であっても、気持ちの変化、生活の変化、体調の変化などから、これまで通りに仕事ができるとは限りません。そこで、妻の安定した収入も活用しながら、リスクを軽減する資金計画の立て方を考えてみましょう。
30代の共働きカップルの場合、そろそろ子づくりを考え始めるものです。遠くない将来、子どもの誕生で環境が激変する可能性が高いことに留意しましょう。20代とは違って、変化が生じる期間を短く想定する一方で、夫婦ともに収入は増えています。住宅ローンの返済は夫をメインとしながら、妻は短期間で無理のない範囲でローンを組むのが、基本的な考え方です。
■資金プラン1:メインは夫の住宅ローンとして、妻は短期間で借りる
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共働き中 |
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借 入 額 |
返済期間 |
金 利 |
毎月返済額 |
夫 |
全期間固定 (フラット35) |
3000万円 |
30年 |
2.98% |
12万6157円 |
妻 |
5年固定 (当初期間優遇) |
500万円 |
10年 |
1.90% |
4万5783円 |
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3500万円 |
− |
− |
17万1940円 |
妻退職後 |
毎月返済額 |
12万6157円 |
− |
12万6157円 |
※みずほ銀行の平成20年9月時点のフラット35の金利と当初期間優遇プラン5年固定で試算
資金プラン1では、夫は3000万円を30年返済、安全第一の全期間固定型で借りました。一方妻は5年後には出産で退職するリスクに留意して、短期間の返済で借ります。ここでは返済期間を10年としましたが、これより短いと住宅ローンが利用できないケースがほとんどだからです。ちなみに、フラット35の場合、最短期間は15年です。
妻が5年後に退職する場合、住宅ローンの残高は約262万円。退職金だけではカバーできないでしょうから、住宅ローン返済開始後も妻は計画的に貯蓄を続け、退職時に残高をすべて返済してしまいます。夫の返済分だけになれば、妻の復職リスクに対応できます。ただ、夫は30年返済なので、定年後に住宅ローンを返済続ける可能性があります。出産後も貯蓄を続け、繰り上げ返済で早めに期間を短縮しておきましょう。
妻のローンは、固定期間選択型の3年〜10年など短期間のもので、金利の低い当初期間大幅優遇タイプを選びます。「返済期間が短く」「金利が低い」ほど、利息は少なくなるので、ローン残高も早く減るからです。子どもの出産を3年先に想定しているなら、借りる額を抑え目にして、より金利の低い3年固定にするなど、自分たちのライフスタイルに応じてローンを選択しましょう。
■資金プラン2:夫の住宅ローンを、ボーナス返済併用にした場合
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借 入 額 |
返済期間 |
金 利 |
毎月返済額 |
ボーナス時 加算額 |
夫 |
全期間固定 (フラット35) |
3000万円 |
30年 |
2.98% |
11万3542円 |
7万5984円 |
妻 |
5年固定 (当初期間優遇) |
500万円 |
10年 |
1.90% |
4万5783円 |
− |
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3500万円 |
− |
− |
15万9325円 |
7万5984円 |
また、夫のローンの毎月返済額は12万6157円になりますが、年収600万円なら返済負担率は約25%なので、それほど無理な額ではありません。共働き期間の返済額も世帯年収で見ると約20%なので、妻が貯蓄をする余裕もあるはずです。とはいえ、毎月の返済額をもう少し抑えたいという場合は、一部をボーナス時の返済に回すプラン(資金プラン2)も考えられます。
ボーナス返済でもっと頑張れるなら、毎月返済額を11万8292万円、ボーナス時加算額を14万2542円として、返済期間を25年とすることも可能です。ボーナスは景気に左右されますので、ボーナスが安定している企業で、転職の予定もないなどの将来性を考えて決めてください。
●共働きなら共有名義に!
共働き世帯の場合、妻にも貯金や収入があるので、頭金を負担したり住宅ローンを借りたりできます。それぞれが負担した額に応じて持分割合を決め、マンションを共同で所有するのが「共有名義」です。妻も資金を出しているのに名義に入っていなければ、妻から夫への贈与と見なされますし、逆に妻の負担した資金以上に持分割合が多ければ、夫から妻への贈与と見なされ、贈与税が生じることになります。出資した額に応じて、きちんと持分割合を決めるようにしましょう。
共有名義にすると、夫と妻のそれぞれで住宅ローン控除が受けられるなどのメリットもありますが、離婚してマンションを処分する際などにトラブルになるデメリットもありますので、不動産会社や税理士に一度相談してみましょう。
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