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マンションの注文建築「コーポラティブハウス」vol.92 


都心・安い・自分仕様
コーポラティブハウスの魅力

都市景観を語る言葉 (23)おっさん雑誌っぽい

アーキネット代表・横浜国立大学IAS客員教授 織山 和久

雑誌のタイプ

総合男性週刊誌は、読者層とともにシルバー雑誌になったと言われる。以前の読者層は40歳台だったのがその加齢に追随して特集も、「100歳まで生きる」のにお金はいくら必要か、認知症チェックリスト、熟年セックス講座、といったタイトルが目立つ。一方、女性ファッション誌は、20代通勤服・フェミニン、30代コンサバ・カジュアル、40代コンサバ・大人カジュアル、といったように、特定の年齢層とスタイルに設定してずっとフォローしている。お互いに対照的なアプローチである。

男性総合週刊誌型の街、女性ファンション誌型の街

街にも、総合男性週刊誌タイプと女性ファッション誌タイプがある。総合男性週刊誌タイプは、例えば、ある郊外のベッドタウン。新興住宅地として分譲されて、当初は30代のファミリー層が多くて賑やかな街だった。それから30数年経つと、子どもたちも独立して高齢者ばかりが残される。坂の上り下りがきついので手放す人々も多くなる。でも保育園や子供服店など子育て関連施設も乏しく、土地代が高いので買い手がなかなかつかず、空家も目立ってきた。高齢者を狙って、以前、空き巣が入って、空家に泊まり歩きながら一帯を物色したりしていた。なかなか厳しい末路である。一方、女性ファッション誌タイプは、重なっていけば多世代型の街にも発達する。そんな例を挙げよう。元々は高台に大きな工場があり、駅前にはいまでも割安の市場、定食屋や一杯飲み屋が充実し、銭湯も営業している。高台は商業施設(客数は少ないが)とオフィスに建て替わり、ターミナル駅に近かったので一帯にはイタリアンやフレンチ、焼き肉の店などが集まる。二次会向けのスペースも多く、若い層にも人気である。街中も、古いアパートや戸建てがショップやマンションに置き換わり、バレエなどのお稽古や塾に通う子供たちも多い。このようにして子どもからお年寄りまで、下町風情から高級ブランドまで、とこの街は重層的に発達した。

山を切り開いて造成された郊外の新興住宅地(文中とは関係ありません)

区画と規模と建物の粒

何が街の行く末を分けたのだろうか?

都心までの距離以外の要因を考えると、街の区画割りにも結構左右されているだろう。総合男性週刊誌タイプは、戸建て用に一区画も数十坪単位で均質化しており、集合住宅や店舗等に必要な面積規模にならない。用途地域も住居系に限られて店舗も入りにくい。そのため街の姿はずっと分譲住宅地にしかならない。

更新が停滞しがち街区

更新の多い街区

大規模開発もある意味同様で、テナントの入れ替えはあるにしても、いったんでき上がった巨大な建物はほとんど変更が効かない。一方、女性ファッション誌タイプでは、街中に百坪単位の区画が結構残っている。元々は、中小工場や商店・営業所、倉庫、木造賃貸アパートといった建物が建っていた。そうした広さの区画のまま、一階店舗の商業ビルや集合住宅などに建て替わる。用途地域も商業系なので住商混在でも良く、容積率もあるので戸建て用には余り細分化されない。建て替わってから数十年経った建物は、周りの利用のされ方や雰囲気を生かして、やはり同じ区画規模で新しく建て替わる。大きすぎず小さすぎず、という区画規模なのでそのままで更新され、時代の流れに合わせる。そして街並みをつくる建物の粒の大きさも更新されつつも揃う。

おっさん雑誌っぽい vs. レイヤード風

一緒に歳をとっていく街をみたら、「おっさん雑誌っぽい」と呼ぼう。こうした街は、だいたい区画がでかすぎるか、オレ用に小さすぎる。その一方、いろいろな世代が惹かれる街は「レイヤード風」と言ってみる。街の区画は大きすぎず、小さすぎず。時代が変わってもちょっとの工夫で装いをうまく替えられる。

筆者プロフィール
株式会社アーキネット代表。土地・住宅制度の政策立案、不動産の開発・企画等を手掛け、創業時からインターネット利用のコーポラティブハウスの企画・運営に取組む。著書に「東京いい街、いい家に住もう」(NTT出版)、「建設・不動産ビジネスのマーケティング戦略」(ダイヤモンド社)他。

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