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コーポラティブハウスの魅力
「寝室は寝るだけの部屋ではありません」
(株)アーキネット代表 織山 和久
寝室は寝るだけの部屋ではありません。
ある調査(マイボイスコム定期アンケート「寝室のあり方」)によると、居心地のよい空間として、リビング62.0%、寝室43.8%、浴室13.4%ととらえられています。眠る以外に、「くつろぐ・ごろごろする」46.9%、「テレビを観る」33.1%、「趣味の本を読む」31.7%、「PC」27.8%と静かに寝入るまでの時間を楽しんでいる様子が伺えます。眠るまでに、その日のいろいろなストレスを落ち着かせるという自然な行動なのだと考えられます。
寝室で行っていること(%複数回答) |
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またよりよく眠る条件としては、
寝る2〜3時間前に軽い運動をする、
就寝1〜2時間前にぬるめのお湯で入浴する、
が上げられます。深部体温を、眠る前に上げて、床についてときにちょうど体温が下がると寝付きがいいためです。
光の条件としては、朝決まった時間に起きて光をたっぷり浴びて、睡眠のリズムをつくるメラトニンの分泌を促すことが勧められています(井上雄一「睡眠障害解消法」講談社)。静かで真っ暗になる場所であることも勿論です。こうしてぐっすり眠れれば、脳(ノンレム睡眠時)と体(レム睡眠時)を休ませて、目覚めも爽やかです。
このように就寝時だけでなく、眠るまでの時間、さらに寝起きまでを考えると、寝室のあり方も見直されます。居心地のいい空間として価値がありますから、ベッドルームももっと広めにとって、たとえば
(1)ベッドルーム+プライベートリビング ベッドでごろごろしながら、お気に入りのDVDや音楽を鑑賞する、肩のこらない本を味わいながら読む、夫婦でおしゃべりを楽しむ、といったレイアウトです。壁付けの書棚、AVラック、ダウンライトなどインテリアを整えておくと、せっかくの寝る前に余計な探しものや不釣合いなデザインでイライラせずにすみます。
(2)ベッドルーム+バスルーム 夜、ヨガやピラティス、ストレッチなどの運動をする、軽く汗をかいた後にゆっくりお風呂につかる、それからぐっすり眠る、というパターンに向いたレイアウトです。運動できるスペースが確保され、バスルームと寝室が一体なので裸のまま寛げ、そして朝はバスルームからも光が入る、という工夫が生きています。
(3)ベッドルーム+バルコニー 静かさは無音にではなく、木の葉がかすれあう音、微かな虫の声、しっとりとした雨音などに感じることができます。また朝はカーテンを開けると上下いっぱいの窓から朝日が差し込み、草花にお水をやりながら日の光を浴びることができます。寝室を外部空間をつなげると、こうした豊かな時間を生まれます。
ぐっすり眠りすっきり起きる毎日のためにも、ベッドルームは単なる寝る場所ではなく、自分たちにとっての安らぎの場としてとらえるべきなのでしょう。寝室を、間取りの最後に残った場所に当てはめるのはとても残念なことです。自分たちの寝るまでの過ごし方に合わせて、リビング、バス、バルコニーなどとつなげる工夫を盛り込んでみたいものです。
筆者プロフィール
株式会社アーキネット代表。土地・住宅制度の政策立案、不動産の開発・企画等を手掛け、創業時からインターネット利用のコーポラティブハウスの企画・運営に取組む。著書に「建設・不動産ビジネスのマーケティング戦略」(ダイヤモンド社)他。