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マンションの注文建築「コーポラティブハウス」vol.11 


都心・安い・自分仕様
コーポラティブハウスの魅力

「コーポラティブならキッチンも収納も思う存分こだわりたい」

(ア) 暮らしの中での調理・食事の重み次第
(イ) 短期収納と長期収納の工夫
(ウ) キッチン周り、収納周りが大事
(株)アーキネット代表 織山 和久

(ア)暮らしの中の食事の位置づけ

 コーポラティブハウスでは住まいの中身についてはかなり自由に決められます。そうなるとキッチンは暮らし方に応じて、まさに百人百様です。統計上も百人百様なことが良く分かります。まず、調理にかける時間*1が30分を超える割合は、専業主婦では31分以上が半数なのに対し、有業主婦は4分の1と違いがあります。時間にゆとりがあれば、ダシとりや下ごしらえから調理に時間をかけて、合間には家族とおしゃべりをしたり、と調理自体を楽しむ方々もいらっしゃいます。また、時間が限られていれば手早く「30分のスピード献立」で調理をこなされる方が多いでしょう。食事の時間も同様です。専業主婦でも調理時間が15分以下では9割が食事時間も短く30分以下と、とにかくお腹を満たす傾向です。一方、調理に1時間以上時間をかけられれば、8割近くの方々は食事にも30分以上をかけて、おしゃべりを楽しみながら過ごす様子が伺えます。
 また「一緒に家で食事をする」ことを大切にしている男性の割合*2は、既婚59.7%、未婚38.8%、子どものいない男性45.3%、いる男性59.7%、と家族構成によって団欒意識には大きな違いがあります。実際に家族の生活時間帯が合わないために、「あまり家族揃って食事をしていない」世帯の割合*3は、26.0%にも及びます。要するに、食事は相手次第です。
 このように
・調理は楽しみか作業か
・食事は団欒の場なのか栄養摂取なのか
・一緒に食事する相手がいるのかいないのか

 といったことで調理・食事の位置づけは随分違います。キッチンも一様では済まされません。調理を楽しみ、食事前後の語らいが大切ならば、キッチン・ダイニングは集中作業の場というより、半ばくつろぎの場としての性格付けになります。調理や後片付けも家族みんなで、となれば一緒に立てるようにキッチンもよりオープンにされています。週末には友人を招いて、一緒の調理と食事を楽しむ、となるとキッチン・ダイニングに庭やリビングが一続きになる例もあります。一方、デリ主体に調理や食事もさっと済ませ、その分、ひとりの時間を大切にするなら、素直に考えればミニキッチンで十分です。調理・食事に、作業/コミュニケーション/参画/社交、のどこまでの位置づけになるか、が大きな選択になるわけです。そして調理・食事の位置づけによって、キッチンもしつらえも全く変わってくるのが本当です。
 コーポラティブハウスなら、そんな当たり前のことが当たり前にできます。画一的なキッチンのように、万人向けは誰にでも向くというものでもないのです。

(イ) 短期収納と長期収納の工夫

 収納については、女性誌で繰り返し特集が組まれるように、なかなか片付かない問題です。
 5人家族の住む3LDKのソウルのアパートで調べた*4ところ、モノの総点数は3,200点に及びました。覚えておくだけでも大変な数です。一方、収納空間について*5は、意外なことに、「現在の収納量はまずまず足りている 60.4%、不足している 39.6%」と量的には満足できる世帯が6割でした。
 けれども収納量は満足していても、「収納に困るモノがある」割合は、63.9%と大半がお悩みです。そして、収納に困るモノは、家電の保証書27.1%、新聞の切り抜き26.2%、カタログ類18.7%、領収書13.7%、ディスク11.1%といった順です。またリビング・ダイニングに散らかるモノ*6では、新聞・チラシ66・1%、本・雑誌55.4%、おもちゃ41.0%、郵便物37.9%、着替えた衣類29.0%といった具合です。

 そう考えると、問題はまず短期収納、期間はせいぜい数時間から数日、ちょっとの間出しておいて後で片付けるというモノに焦点が当てられます。問題は、忘れやすい、散らかりやすい、ということでしょう。大脳であれば短期記憶の領域で数字の記憶では7桁が限界ですから、置いておいて忘れるのも当然です。季節はずれの衣類や家電製品なら、「衣類→冬物→上着」といったように、長期記憶メカニズムに従って分類・階層化し、場所や棚、入れ物を固定して収納する方法できますが、短期収納にはうまくいきません。また同じモノでも散らかっていると、右図のように「足の踏み場もない」と床面積が実際以上に狭くも感じらてしまいます。リビングで寛ぐ気持ちも半減です。
 こうした短期収納にふさわしい方法となると、建築家からは壁面収納が薦められます。いつも見える場所にモノがあるので忘れませんし、壁面に納まっていれば散らかった感じもしません。領収書や保証書なども、ブックファイルに入れて壁面収納にしまっておけば済みます。リフォームで欲しい収納タイプは、壁面収納71%、ウォークインクロゼット13%、屋根裏収納9%、家具5%という調査結果*7の通りです。リビング収納がある世帯は19%だけに切実です。

 壁面収納ですが、通常のマンションでは簡単ではないようです。中高層マンションではラーメン構造ですから柱・梁の間は抜けていて、壁は軽量鉄骨とボード、ビニールクロスでつくられています。従って棚板などを直接は固定できず、背板・側板・天板・地板が必要でごつい家具になってしまいます。一方、コーポラティブハウスのように低層の集合住宅では壁構造、つまり壁自体がコンクリートで頑丈につくられていますので、壁に直接棚受けを打ち込んで棚板を載せれば、壁面収納は完成します。せっかくの空間ですから、床も壁も大事に使いたいものです。
 長期収納については、戸建て注文住宅の実例でも専有面積の7%が標準的ですので、大方の住まいでは満足しているでしょう。問題は位置です。分譲マンションの収納は、個室の押入れやトイレの脇などに決められています。そうなると子どもの個室や誰もが空ける場所に、親の妖しげな蔵書(ドグラマグラやメイプルソープ写真集など)、昔の日記、写真や手紙なども納められたりするわけで、具合はよくありません。その点、コーポラティブハウスでは収納のレイアウトは自由ですので、中身のモノを想定しながら収納場所を工夫することができます。

 さらに進んで、お気に入りのコレクションを「見せる」収納もなんとも楽しげです。螺旋階段の側面一杯に備え付けられた書棚、壁面一杯の棚に収められた一万枚ものCD、キッチンの向かい側に並ぶフィギュアの棚、整然と何列ものポールに架けられた衣装・・・。お気に入りの空間で、お気に入りのモノに囲まれるのは、心から寛ぐことができるでしょう。このような当たり前のことが当たり前にできるのが、コーポラティブハウスの特長のひとつでしょう。

*1 リビング新聞グループによる調査結果 2007
*2 「少子化対策と家族・地域の絆に関する意識調査」内閣府 平成18年
*3 「意識調査 家族だんらんに関する意識調査」株式会社アイシェア 2008
*4 「普通の生活 李さん一家の3200点」INAX出版
*5 「リビングダイニングにおける生活・行為・「モノと情報」の収納に関する研究」中村久美、今井範子 日本建築学会大会学術講演梗概集1995年8月
*6 「リビングダイニングの住生活における収納の問題」中村久美、今井範子 日本家政学会誌 Vol.53 No.1 43~56(2002)
*7 「生活実態から見る公室空間における物と収納に関する調査研究 その1 リビングとダイニング」松田奈緒子・中尾辰雄 日本建築学会大会学術講演梗概集1998年9月
筆者プロフィール
株式会社アーキネット代表。土地・住宅制度の政策立案、不動産の開発・企画等を手掛け、創業時からインターネット利用のコーポラティブハウスの企画・運営に取組む。著書に「建設・不動産ビジネスのマーケティング戦略」(ダイヤモンド社)他。

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